株式会社こまがた農園
南魚沼市の旧大和町で米づくりを手掛けるこまがた農園。令和2年に「お米日本一コンテストinしずおか」での最高金賞をはじめ、幾つものコンテストで受賞歴を重ねて注目を集めてきた同園が目指すのは、地域と共に循環し、サスティナブルであり続ける農業の姿。「世界一嫌いだった農業が、世界一好きな仕事になった」と話す駒形宏伸代表は、次代に繋げていきたい農業のスタイルを目指して挑戦を続けている。

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写真左:代表取締役 駒形 宏伸 さん

本家に残る古文書に先祖の名前が確認できるのは、最も古いもので安永6年(1859年)。それより前からこの地で農業を営んでいたのだろう
透明感があるような味の米を目指して
米農家に生まれたものの、毎日泥だらけになって農作業をする父を見て、自分は絶対に継がないと思っていたという駒形さん。陸上に打ち込んでいたが、大学時代に挫折。そのとき、バイト仲間の部屋で見たDJセットに心を奪われ、DJの道へ。家に戻った際に、父から農業をやらないかと言われ、レコードを買うためにお金が必要だったから、という理由で働き始めたという。DJ世界大会で二度の優勝を果たした駒形さんは、CreepyNutsのDJ松永さんの師匠としても有名だ。
そのDJ松永さんから「東京で勝負してきます」と言われた際に、素直に送り出せたときが、ひとつの節目だったと振り返る。「若かったら自分も行くと言ったでしょうけど、その気持ちにならなかった。コンテストもあと一歩の成績が続いていて、音楽へのモチベーションが低くなっていた。結婚するタイミングでもあったので、それなら農業に本腰を入れようと思ったんです」。
若手の農家の集まりに行ってみると、当然ながら皆、農業に詳しい。それが悔しくて、まずはスイカ栽培に集中。そのうち米にもコンテストがあることを知り、挑戦を始めた。「魚沼の米なら誰が作っても入賞するだろうと思って出したら、箸にも棒にもかからないんです」。そこから稲の生態などを猛勉強し、自己流で研究。「でも5年やってもうまくいかなくて、地元の米づくり名人のところに教わりにいきました。入賞する米はプロフェッショナルなやり方があるんです」。

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お米を保管する倉庫は温湿度が管理されている。来年はライスセンターを増築する計画だ

現在の米の栽培面積は19ヘクタール。30ヘクタールまで拡大するのが目標だ。「米づくりは難しい。父も六十回やってきても分からないと言いますから」と駒形さん
食味計や穀粒判別機、味度計でお米の状態をチェック。ここまで機器を揃えている生産者は珍しい
重要なのが土づくりだということも痛感した。精米時に出る米ぬかに魚かすや油かす、昆布がらなどを加え、1年以上熟成発酵させた自家製ぼかし肥料や、親戚の酪農家からの堆肥で土に力をつけていった。牛にはこまがた家の稲わらを食べてもらっている。「土が良ければ、ある程度の少雨でも稲は大丈夫です。米から取れたものを肥料にして田んぼに戻すという循環が大事だと思っています」。スイカの交配用に飼育しているミツバチも活躍。蜂蜜で発酵液を作り、稲にかけることでアミノ酸を補給することができるそうだ。
南魚沼でかっこいい農業を子どもたちに見せていく
令和2年の全国大会最高金賞をはじめ、数々の入賞を果たしてきた駒形さんだが、目指す米の味は変わってきているという。「前は爆発的なおいしさを生み出したいと思っていましたが、米が強すぎるとおかずと合わないんですよね。いまはシンプルな味に向かっていて、透明感のあるお米を作りたいなと思っています」。
スイカ栽培も極めてきた。「金色羅王(こんじきらおう)」という、赤玉よりも高い糖度を誇る品種では、糖度コンテストで全国優勝。一般的な赤玉が糖度12度のところ、金色羅王は15度を超えるが、こまがた農園は20.6度を叩きだしたのだ。ただ、着果が難しい品種で、花が咲くと従業員総出で、数千個の花の受粉を手作業で行うそうだ。
「こまがた家の八色西瓜」は甘さとシャリ感が抜群。スタッフ総出で行う受粉作業は時間との勝負だ

養蜂も、蜂蜜はもちろんスイカの交配や稲の肥料などにフル活用
米やスイカは、現在ほぼ全量が直接販売。それを実現するために、ブランディングも進めてきた。面白いのはホームページやパンフレットなどの制作に携わるデザイナーやカメラマンが、もとダンサーだったり、クラブで写真を撮っていたりした人たちだということ。「DJ松永もメディアで紹介してくれて広く知ってもらえるきっかけになりましたし、同じシーンで過ごしたクリエイターが手伝ってくれていて、音楽をやってよかったなと思いますね」。
いま、危惧しているのは中山間産地の未来。「耕作放棄地が増えて、獣害も増えています。里山に手をかけていくことが必要で、そのためには地域に高付加価値を持たせることが必要だと思っています。南魚沼はワインで言うブルゴーニュだと思っていて、そのなかのロマネ・コンティ地区を作りたい。自然との共生を感じてもらえて、周辺の100年続く味噌屋さんや飲食店、うちの米粉のケーキ屋などを線で結べたら面白いモデルが出来るんじゃないかと」。農業について、世界一嫌いだった仕事が、いまは世界一好きと笑う駒形さん。「かっこいい農業を見せていけば、子どもたちも見る目が変わるんじゃないかなと思っています」。
駒形さんの奥様が手掛ける米粉のシフォンケーキのお店「おこめのケーキ qute(クテ)」
営業日:金・土曜の10:30~15:00
住所:南魚沼市大桑原771−1
定休日:不定休あり

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きめが細かいと評判の米粉はウェブサイトから購入できる
こまがた農園の外壁は越後杉。内装材も土に還るものを使っている
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