果汁弾けるたわわな実り

『ぶどう』

肥沃な地と技術で作る果実

シャインマスカットの登場で、フルーツのなかでもさらに人気が高まっているぶどう。JAにいがた南蒲管内では、三条市大島地区と加茂市が主要産地だ。信濃川河川敷の栄養豊富な土壌で育つぶどうは、とにかく甘くてジューシー。口に含むと弾けるように果汁が広がり、そのおいしさには世代を問わず全ての人が魅了される。この、たわわに実ったぶどうの房は、実は人の手が入ることによって生み出されている形。美しく、おいしいぶどう作りのため、ぶどう農家の初夏は大変な忙しさだ。

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  • 南蒲ぶどうが県内トップを切ってシャインマスカットや巨峰を送り出す。
    髙井さんの畑ではシャインマスカットは8月のお盆前から、巨峰は7月下旬から出荷が始まる

お盆前出荷ができる産地としての強み

県内のぶどう産地であるJAにいがた南蒲管内の三条市大島地区と加茂市。両市では約30名の生産者が、ぶどう作りに取り組んでいる。なかでも、三条市大島地区の特徴は、ハウス栽培が主力で、8月のお盆前に巨峰だけでなく、シャインマスカットも出荷できるということ。JAにいがた南蒲天果糖逸(てんかとういつ)出荷販売協議会ぶどう部会副部会長の髙井徳忠さんは「このあたりでぶどう栽培が始まったのは、私の祖父の代からです。最初は減反対策として始めたようですね。ぶどうは露地栽培だと傷みが出やすいですし、特に新潟は梅雨が長い、風が強いといった気候の特徴から、品質の保持が難しい。そうしたことから、最初からハウス栽培を取り入れていったようです」と話す。

  • ビニールの枚数を増やしてハウス内の温度を調整

いま、生産量のトップを誇るのはシャインマスカットで、巨峰が続く。以前は巨峰が断トツだったが、ここ数年で逆転したという。その理由はやはりシャインマスカット人気の高さ。平成18年に品種登録されて以降、フルーツ市場を席捲しているシャインマスカットを、髙井さんは「まるで大谷翔平選手のようなスーパーヒーロー」と例える。「そのまま食べてもおいしく、和菓子にも洋菓子にも使えて、これほど世に出たぶどうはこれまで無かったですね。値段は高いけれど、それでも買っていただけて、県内市場でもまだ足りないくらいです」。
一方で巨峰も根強い人気がある。JAにいがた南蒲の金子靖さんは「全国的にもこの逆転現象は起きていて、いまでは巨峰が貴重になりつつあります。巨峰や、そのほかの赤系、黒系の品種あってこそのシャインマスカットというところもあるので、産地としては巨峰の栽培も守っていきたいと考えています」と話す。

  • まるで陶器のようなツヤを湛えている髙井さんのシャインマスカット。
    パリっとした歯ごたえと香り、甘みが人気だ

  • 大きく黒、赤、黄緑に系統が分かれるぶどう。
    巨峰は黒系に分類される。近年は種なしも人気

大島地区のぶどうはシーズンスタートの早さだけでなく、その品質も魅力。果汁をたっぷり含んだ大粒で美しい形のぶどうは、ひと房35~40粒で、重さ500~600グラムが理想。その理想形に育てるために重要なのが、花穂(かすい)整形、摘粒(てきりゅう)という作業だ。ぶどうの花の部分にハサミを入れ、形よく成長するように調整するもので、全ての房にその作業を施す、気の遠くなるような仕事だ。摘粒は2週間の間に一気に進めなければならないため、5月から6月中旬のぶどう農家は1年で最も忙しい。

ひと房ひと房、心を込めて作り上げる

どのようにハサミを入れるかで品質が決まるので、ぶどう部会ではお手本となる摘粒後のサンプル模型を作成。「最初はこの倍以上の粒が付いているので、それをこの数まですくことが必要です」と髙井さん。理想の状態を共有することで、部会全体の品質の維持・向上を図っている。「おいしいぶどうを楽しんでいただくために指導会で教わったことを徹底しています。大変ですが皆、ひとつひとつ、愛情込めて作業を行っています」。

実の成長を予測しながらひと房ずつ摘粒作業を行う

  • 食品サンプルの会社に依頼して作成した摘粒サンプル模型

収穫期になると、早朝の5時から8時の間に収穫し、重さを量って箱詰め。その日の午後3時までにJAの集荷場へ運び、市場へと送り出されていく。
店でぶどうを選ぶ際は、ブルームと呼ばれる白い粉がきれいに付いているものを選ぶといい。「ブルームはぶどうの天然成分で、実の水分蒸発を防いで、鮮度を保つ働きがあります。触るとすぐに取れてしまうので、収穫のときはなるべく触らないようにしています。洗わずそのまま食べて大丈夫。軸の青さも鮮度の目安です」。
また、新鮮なうちは冷蔵庫には入れず、食べる前に軽く冷やすくらいがおいしいとのこと。髙井さんは常温で食べるのが好きなのだそうだ。
近年は消費者の嗜好に合わせ、種なしのものが主流になってきている。淘汰される品種もあるが、やはり種類豊富なのがぶどうの魅力だと話すふたり。「緑系のロザリオビアンコや雄宝(ゆうほう)、赤系のオリンピアや甲斐路、黒系のナガノパープルやピオーネなどの他、実がハート形をしたマイハートといった品種もあります。秋を象徴する味覚なので、いろいろな新潟のぶどうを楽しんでください」。

  • 大島選果場

  • 品種や規格ごとに生産者が続々と出荷場に運び込む

  • 品質をチェックした後、
    丁寧に帯掛けをして贈答用箱へセット

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大島園芸振興協議会
ぶどう部会副部会長

髙井(たかい) 徳忠(のりただ)さん

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JAにいがた南蒲
北営農センター

金子(かねこ) (やすし)さん

お問い合わせ

JAにいがた南蒲 北営農センター

〒959-1387
加茂市高須町2-7-3
TEL:0256-47-1469 
FAX:0256-47-0621

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