鉄の可能性を追い続けて

柏陽鋼機株式会社

昭和21年の創業以来、柏崎市で鋼材卸売会社として歩んでいる柏陽鋼機株式会社。「鉄は面白い!」をキャッチフレーズに、鋼材の販売だけでなく、カットや穴あけ、塗装までを請け負う加工も行うことで顧客の支持を獲得してきた会社だ。令和5年には新社屋も完成し、次なる目標に向けた体制づくりに取り組んでいる同社。その視線は県内から県外、関東へと向けられている。

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新幹線や高速道路建設を鋼材で支えてきた

柏陽鋼機は終戦から半年後の昭和21年2月に創業。土木、建築などの建設現場で使用される鋼材の販売を手掛け、関越自動車道、上越新幹線、柏崎刈羽原子力発電所といった地元の大きなプロジェクトにも携わってきた。
平成3年からは鉄素材に付加価値を付けていこうと、カットや溶接、塗装といった加工も手掛けるように。また、バブル崩壊後、苦戦が続いた時期には、社員から会社再生アイデアを募り、工場などで余っている鋼材を買い取って再販売するリユース事業をスタートさせるなど、逆境の時にも常に新しいことに取り組み、市場を切り拓いてきた。

代表取締役社長

佐藤(さとう) 二三昭(ふみあき)さん

本社

佐藤二三昭社長は、そのリユース事業の発案者。「当時の西川正純社長に“面白そうだからやってみたら”と言われて始めました。会社全体の売り上げからみたら微々たるものでしたが、営業に回っているとリユースに興味を持って話を聞いてもらえて、それが後々の仕事につながったりしましたね。鉄のビジネスは実は奥深いものがあると感じましたし、会社が新しいことに取り組むことの大切さを感じた経験でした」と振り返る。

  • 加工センターでは鋼材のカットや溶接、塗装などの工程を手掛けている。
    主な取引先はゼネコンや鉄骨加工業者で、さまざまな建設現場に運ばれていく

求められるサイズや形状に合わせて、カットする機械、穴を開ける機械などがいくつも並ぶ

  • 本社の入り口にある看板も自社のレーザー加工技術で作られたもの

鋼材販売業界のなかで、いち早く加工という付加価値を強みとしてきた同社だが、次第に他社も追随。「そうなると、次の手を打たないといけません。社員の検討委員会の意見も含めて、他とは違う加工も出来るように、加工事業を更に発展させていこうと考えているところです。あとは、当社なら図面を提示してもらえば、一度の打ち合わせで、鋼材の加工から塗装まで納期に合わせて仕上げることができる。そうした強みをさらに磨きながら、柏陽鋼機ブランドを作り上げていきたいと思っています」。
令和5年7月に完成した新社屋は、そうした未来への第一歩。「これまで約80人いる社員が一堂に集まれる場所がなかったんですね。加工センターや倉庫は少し離れた場所にあるので、ここをプラットフォームとして学びやコミュニケーションを図れる場所にすることが最も目指した部分です。次のプロジェクトは加工部門の設備投資ですが、その指令本部でもあります」。

新社屋は令和5年7月に完成したばかり。
全社員が集まったり、他部門どうしで打合せをしたりと、コミュニケーションの拠点となっている

社員発案のアイアンアイテムも話題

同社では、一般消費者に向けたオリジナル鉄加工製品も販売している。その「0-1(ゼロワン)プロジェクト」は、鉄の面白さをもっと広く知ってもらいたいという社員たちからの発案で始まった取り組みだ。社員10人余りがプロジェクトチームを作り、最初はガーデンピックなどのガーデニング用品からスタート。キャンプ用ツールの焚火台やコーヒードリッパースタンド、テーブルやラックなど、アウトドア用品を充実させ、柏崎市のふるさと納税の返礼品にも選ばれるなど反響を呼んでいる。また、オリジナルのアイアンアイテムの製作を依頼することもできる。「今までやったことがないことで、社員たちが自主的に提案してきたことだったので、いいんじゃないかと賛成しました。まさに、リユース事業をやったときと同じような感じですね。取り組んでいる社員たちは自分の仕事もやりながらなので大変だと思うのですが、頑張っています」。

0-1プロジェクトから生み出されたコーヒードリッパーや焚き火台などのキャンプギア。
オーダーメイドでの製作も可能だ

  • 社員の希望で採用されたというデニムの作業服

社員数も増えてきた会社として、地域への貢献も考えていかなければと話す佐藤社長。いまは本社と加工センターが並ぶ道路の周辺を、年1回社員全員で清掃を行っている。また、社内ですぐに実行できるSDGsの取り組みとしてペットボトルキャップの回収を行い、世界の子どもたちにワクチンを届ける活動に寄付。2カ月で集まった約10キログラムのキャップは、2.5人分のポリオワクチンを送ることができたそうで、今後も取り組みを続けていく。
会社のこれからについて佐藤社長は、柏陽鋼機ブランドの基礎を固め、レールを敷いて、次の世代へバトンを渡したいと考えているという。8年前には高崎市の鋼材会社を買収し、北関東でのビジネスチャンスも広げている。「実業家の稲盛和夫氏が中小企業には不景気なんてない、と話していたように、地方だからこそ工夫はいくらでもできる」と今後を見据える。さらに鉄の奥深さを追求し、発展していく同社の姿が楽しみだ。

  • 鋼材加工センター

お問い合わせ

柏陽鋼機株式会社

〒945-0114
柏崎市藤井1497
TEL:0257-24-5666 
FAX:0257-24-5665

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