株式会社ナガオカサッシ工業
アオーレ長岡、新潟日報メディアシップ、燕市新庁舎など、近年の新たな街のランドマークとなる建物は「窓」が印象的。そうしたデザインを実現する技術者集団がナガオカサッシ工業だ。昭和45年の創業以来、サッシの設計から製造・施工までを一貫で手掛ける会社として、さまざまな最新の建築物を手掛けてきた同社。その経験と技術で、新潟や東京の街に印象的な景観を生み出している。
お客様の要望に応え、新たな建築に挑戦し続ける
ナガオカサッシ工業はアルミサッシの設計、製造、施工、メンテナンスを一貫して手掛ける会社だ。「一般の方からはガラス屋さんと勘違いされることも多いのですが、サッシは窓枠のことです。当社ではビルや公共施設、病院、食品工場といった特殊な建築物を手掛けています。建物を見る時、窓そのものはあまり意識しないかもしれないですが、窓は街の景観に貢献しているところが大きいものだと知っていただけたら」と西澤哲彦社長は話す。最近は、新潟市の新潟日報メディアシップや新潟総合テレビ本社などのように、一面がガラス窓といった印象的な建物も。そうしたデザインの実現を同社の技術が支えている。
代表取締役
西澤 哲彦さん
事務所外観(上)、事務所内観(下)
同社はアルミサッシの国内最大手メーカーのYKK APのビル認定加工店で、工場から送り出す製品はYKK APブランドとして出荷されている。(アルミサッシ)販売会社は全国にあるが、自社工場を保有し、フルメンテナンスまで対応できるのがナガオカサッシ工業の特徴だ。実はそうした会社は全国に何社も無く、それがそのまま同社の強みとなっている。
サッシを設計する際には、その建物に応じた水密性(豪雨や台風下で水が流入しないようにする性能)、気密性、断熱性、遮音性などを考慮しながら進めていく。建物の外部と内部、両方の知識を持たなければならないことが、難しさでもあるという。
工場ではアルミ材からサッシを製造。倉庫には巨大な材料が並ぶ
それぞれにカットや穴開けなど加工していく
枠の種類に応じて使用する型も多種多様
そして、最も技術を要するのが取り付けなのだそうだ。「取り付けが万全でないと性能は落ちるんです。メーカーではロボット取り付けの研究が始まっていますが、やはりハードルは高い。特に当社が手掛けるような建物は窓が連続していたり、段になっていたり、サイズも大小さまざまなので、人の手でなければ難しいですね」。
仕事で大切にしているのは、お客様の要望にどこまで応えられるかということ。「設計条件によっては、安全面などを考慮して妥協点を探らないといけない案件もあります。斬新なデザインであるほど、我々も挑戦ということになります」。そうして積み重ねてきた経験が同社の財産になっている。
組み立てをして出荷。工場内には多くの機械が並ぶが、手作業の工程も多い
街を歩く時、窓やドアにもぜひ注目してみてほしい
西澤社長は創業者である現相談役の父の跡を継いだ2代目。物理を学ぶつもりだったが、東京に行った際、用途によってさまざまな建物があるのを見て「面白そうだ」と感じ、急遽、建築系に進路を変えたという。卒業後は東京の設計事務所に就職していたが、Uターン。「東京に居た頃、当社の構造設計を少し手伝うこともあったのですが、徐々に会社のことが分かってきて、地域の皆さんと話をして初めて、この会社は地域で大事な存在だと感じた。それは、会社を継ぐことを決心するひとつの後押しになりましたね」。
取引先などからは「いい社員さんだね」「雰囲気のいい会社だね」と言われるという西澤社長。「私があまり関わらないのがいいのかもしれません。社員にストレスをかけ過ぎないようには気をつけています」と笑う。社員の資格取得を推進していて、受講費用は会社が全額負担。合格の際は祝い金を出し、さらに給料には資格手当をつける。「どの会社にも負けないくらい手厚くしよう、という気持ちです。多くの社員が挑戦し、合格してくれていますね」。
コロナ禍中に導入したオフィスコンビニは
好評のためその後も継続設置。
ちょっとした飲食物がその場でスマホ決済できる
採用活動用にマンガやアニメーションを活用して業務内容を分かりやすく伝えている。
社内向けにも業務の効率化のためにマニュアルの動画化などを進めているそうだ
近年の地球温暖化傾向は、建築の在り方にも影響があるという。「これまでは冬の寒さ対策で、熱をいかに逃がさないか、結露しないようにするかを追求してきましたが、最近は夏の暑さをどうするかが課題になってきています。冬より夏の快適さを重視した設計に代わっていくのかなと思っています」。
サッシ枠だけでなく、エントランスやドア、シャッターなど、いわゆる開口部の仕事は全て手掛けている同社。「自動ドアもしっかりとした施工だからこそ動いています。ぜひ建物に入るときはドアなどにも、外から眺めるときは窓にも注目していただけるとうれしいです」。
自社開発した「幼稚園・保育園向けセーフティ網戸」は全国で導入されるヒット商品に。
子どもたちが誤って網戸に衝突しないよう考えられた
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