ブランド豚に夢を乗せて

有限会社キープクリーン

新潟市南区で養豚業を営むキープクリーンは、JAブランドのしろねポーク、自社ブランドの「夢味豚(むーみーとん)」を生産。新潟県畜産協会が認定するクリーンポーク農場の認可も取得していて、おいしくて安全、ヘルシー、リーズナブルな豚肉を提供するのがモットーだ。新潟米や米菓、パンなどを原料にしたオリジナル飼料、欧州の養豚技術を取り入れた飼育など、常に勉強と工夫を重ねて品質向上や効率化に取りくむ姿がそこにある。

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  • 写真右端:代表取締役社長 小嶋(こじま) 洋朗(ひろあき)さん

欧州の最先端技術を取り入れた養豚へ

きめの細かい肉質で、脂身が甘く、おいしいと評判のしろねポーク・夢味豚。そのおいしさの秘訣のひとつは飼料にあり、キープクリーンでは飼料として一般的な輸入穀物は使わず、地域で収穫される新潟米や、サンドイッチを作るときに出るパンの耳、米菓の規格外品などで作った、オリジナルの飼料を与えている。

飼料の原料は、新潟米や米菓など、人が食べるものと同じ

「米由来の飼料は、豚の太りもいいし、きれいな霜が入っておいしくなりますね。パンや米菓工場では、食べられるのに製品にならずに廃棄されるものがとても多い。当社ではそれらを購入して飼料原料にしています。そういうことに気付いたのは、実は当社が産業廃棄物の収集運搬業も手掛けているからです」と小嶋洋朗社長は話す。会社の設立は平成元年。もともと養豚業を営んでいた小嶋社長のもとに、縁あって産廃会社をやらないかという話が舞い込んだ。「豚を育てていた人間が急に会社の経営なんて、分からないことだらけでしたよ。でもそのなかで、食品工場の廃棄物の状況について知ることになりました。人が食べるものだから、安全性は確か。豚のふん尿は有機肥料にして畑に戻しているので、循環型養豚を形にできていると思います」。

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  • ふん尿は肥料化プラントで強制発酵させることで堆肥として畑に循環でき、
    体積も1/3~1/4ほどに減らすことができる

キープクリーンは生産性の高さでも注目を集めている。国内で豚が一度に出産するのは12頭前後とされるが、同社は平均14.7頭。成長して無事離乳できるのが一般的には10頭弱なのに対し、同社は12.4頭だ。それが可能になっているのは、欧州の最先端の養豚を知ったのがきっかけだ。

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飼料は感染症対策のため、豚舎とは別エリアにある自社の飼料工場で製造。
機械で自動で給餌される装置も導入している

「10年ほど前に海外の養豚が日本の1.5倍の生産性があることを知りました。調べると、遺伝子をゲノム解析し、優秀な種を選抜しているからだと分かった。病気になりにくい、子をたくさん産む、脂が付きやすいという遺伝子の配置を、全て解析したという。信じられない思いでしたね。5年前、オランダに視察に行って一番驚いたのは15,000頭を青年が1人で管理している農場を見たとき。うちは4人で7,000頭弱でしたからびっくりです。豚の気性が穏やかなので世話もしやすい。それも選抜されている品種だから。豚舎もとてもきれいでした」。

母豚舎、分娩室、肥育舎に分けられ、出産の周期や生育状況を1日単位で管理

夢味豚から地域の新たな
食の楽しみが誕生

4年前から親豚候補をオランダから輸入し始めたことで、生産性は徐々に向上。また、ワクチンを投与することで抵抗力を上げ、病気になって余計な製剤を使わずに済むよう、健康に育つように配慮している。
こうした努力によって夢味豚のブランド豚としての評価が高まるにつれ、扱ってくれる地域の飲食店が増えてきた。夢味豚を使って自家製ソーセージやハム、ベーコンを作っている店や、生ハム工房などもあり、夢味豚を通して新潟の新たな食のジャンルが広がっている。「白根でダイニングバーを開いている青年は“夢味豚で勝負します”といって、看板メニューにしてくれている。そうやって多くの人が、夢味豚をおいしいといってくれるのは、生産者として本当にうれしいことです」。

  • 夢味豚は自社の精肉加工場でカットして出荷

  • ほどよい霜降りの肉質で、旨みたっぷりのしろねポーク・夢味豚。JA新潟みらいファーマーズマーケット「いっぺこ~と」などで購入できるほか、新潟市アグリパークのバーベキューコーナーでも提供されているので、夏のレジャーで味わうのもおすすめだ

現在、来年の完成を目指して豚舎の更新・新設計画が進んでいる。さらに、より綿密な出産計画も合わせて実施することによって、年間出荷10,000頭体制を実現する予定だ。直接豚の世話に携わるスタッフはこれまでと変わらぬ4名。少人数でより多い豚を効率よく、安全に管理していく体制を整える。そして基盤を整えた先は、次の世代の社員たちに任せていきたいと小嶋社長は話す。「社員たちには常々、会社の仕事を自分の仕事として考えてやっていってほしいと話しています。いま最新設備の豚舎を造っても、15年後にはまた整備が必要になるし、その頃には新しい技術も生まれている。豚肉の市場も、どう変化していくか分かりません。でも、まず今は“日本一の養豚を目指す”ことを社員で共有してがんばっています。実は、私は数年後には引退して、東南アジアへ農業指導に向かいたいと思っています。だから、いまできる最善の仕組みを整えたら会社の将来は社員たちに託すし、自分たちらしく頑張っていってくれると思っています」。

お問い合わせ

有限会社キープグリーン

〒950-1416
新潟市南区西笠巻2114番地
TEL:052-362-6045 
FAX:025-362-3022

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