食の場面を想い、大切に作る

株式会社高田農園

新発田市で6代続く農家の高田農園。栽培品目の中心は米、そして新発田の特産品であるアスパラだ。甘くておいしいと評判のアスパラは、今後も生産増を見込むほどの人気。さらにJA北越後とのコラボで販売している「あやめみそ」は給食にも採用され、いまや多くの人の故郷の味になっている。「新発田の農家として、新発田の人においしいものを」。その思いは地域を越え、全国にも広がり始めている。

  • 写真中央:代表取締役 高田(たかだ) 和直(かずなお)さん

故郷の食を支える一農家として

のどかな田園風景を進むと、ふわふわとした葉を茂らせ、人の身長をゆうに超える高さまで伸びているアスパラの畑が現れる。横に並ぶ12棟のハウスの中にも、同じようにアスパラがすくすく育っている。新発田市で6代続く歴史ある農家、高田農園の圃場だ。

代々米作りを営んできた高田農園では、現在は特別栽培米コシヒカリを中心に、加工用米や輸出用米も栽培。そして園芸作物では、「にいがた農業応援ファンド」の「1億円園芸産地チャレンジ事業」を活用して農業用の装置を導入するなどしてアスパラに力を入れている。「アスパラを始めたのは今から15年ほど前で、父の代からです。土づくりにこだわっていて、心土破砕をしたあと堆肥と大量の燻炭(くんたん)(もみがらを焼いて炭にしたもの)を入れて、しっかり土を攪拌してから畝を作って植えています。通気性が良くなって病気の予防になるのと、良い微生物の住処になるようにとも考えています。毎年の土壌分析も欠かしませんし、おばあちゃんたちが“こぬかをやると野菜はおいしくなる”と言っていたので、ぬかが出るたび撒いています。そのおかげか、うちのアスパラは甘い、おいしい、と言っていただけて、とてもうれしいですね」と高田和直社長は話す。

  • 親木は高さ2~3メートルにもなり、アスパラはその根本からタケノコのように生えてくる。
    通路に米ぬかを撒くことで、栄養を与えると同時に防草効果も

もうひとつ、高田農園がいち早く手掛けてきたのが農産加工品だ。「父が平成20年からJA北越後さんと一緒に味噌を作り始めたのですが、こだわりは自社生産の米と新発田産大豆で作るということ。当社では糀づくりから自分たちでやっていますが、最初は父も相当苦労したみたいで、寝袋を持っていって工場に寝泊まりして、何樽もダメにしながら作ったと聞いています」。そうして生まれた「あやめみそ」はJAだけでなく、市内スーパーなどにも販路が広がり、学校給食にも採用されている。また、同じ糀を使って甘酒や三五八(塩こうじ)も商品化している。

自家製の米と大豆を使って糀から作る発酵食品。あやめみそと甘酒、三五八は故郷の味として親しまれている

父親が手掛けた新たな展開を受け継いでいる高田社長は10年余り前に就農。「父たちの仕事をずっと見て来て、自分はこの先どうするのか考えなくてはと思っていたのですが、大きかったのは東日本大震災です。あのとき、関東などではスーパーから商品が消えて、本当に食べ物が無いというのは非常事態だと感じました。その土地で食べものを作っている人がいないと、物流が止まったら大変なことになると。それで継ぐ気持ちが固まりました」。

自慢のアスパラを全国の人にも

高田農園では昨年からネット通販も始めた。きっかけは新型コロナウイルス禍だ。スーパーに卸しているアスパラの取引価格が下がり、自社独自の販路も作る必要があると感じた。「ネット通販のいいところはコメント欄への書き込みを通して、食べた人の感想を聞けるということ。お客さまの声は本当に励みになりますね。感動したのは、父の日のプレゼントにうちのアスパラを贈った方の話で、高齢で食が細くなっていたお父様が“こんなアスパラは食べたことがない、90年生きてきて一番おいしいアスパラだ”とおっしゃってくれたそうで、“贈ったかいがありました”と書いてあって。うれしかったですね」。

  • アスパラは、春から収穫が始まり夏にピークを迎える

驚くのはそのリピート率で、今年の6月は注文者の約半分がリピーターで、なかにはすでに8回目という人もいるそうだ。「送料を入れると4,000円、5,000円になる商品なのでハードルは高いと思うんですが、ステイホームで外食しない分、家でおいしいものをという流れもあると感じます」。
アスパラは鮮度も重要なので、乾燥や冷えすぎを防ぐため、濡らしたさらしで包み、発泡スチロールに入れてクール便で発送する。「畑で皆に苦労してもらいながら作ったものを、最後の段階で中途半端なことをして“こんなものか”と思われるのは嫌なので、お客様の元に届くまできちんとやろうとこだわっています」。

早朝4時半ごろから収穫されたアスパラは、その日のうちに販売先へ。ネット通販も収穫翌日には届く

また、通販サイトを通して、全国の頑張っている農家を知ることも刺激になると話す高田社長。「新発田の一農家なので、まずは新発田の皆さんにおいしいと食べてもらえるものを提供したい。そして県内各地や全国の人に“新発田のあれはおいしいぞ”と知ってもらえる会社になれたらと思いますし、新発田の皆さんに自慢してもらえる会社のひとつになれたらいいなと思いますね。常に食べてくれる人を想像しながら、どうしたら喜んでもらえるかを追求し続ける会社になっていきたいと思います」。

お問い合わせ

株式会社高田農園

〒957-0015
新発田市東新町4丁目12番9号
TEL:0254-23-1844 
FAX:0254-26-0318

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