越路の土地と人と歩んでいく

有限会社ホープイン中沢

長岡市の旧越路町地区で米や大豆などを生産する「ホープイン中沢」。初代の父から経営を受け継いだ駒野社長は、多くの仲間と共に農業の道を歩んでいる。「いつも周囲の皆さんがアドバイスをくれたり、ベテランの人から教えられたりすることの多い環境がありがたいです。父から会社だけでなく、人脈も一緒に継がせてもらったと思いますね」と、人のつながりに感謝しながら喜んでもらえる農産品づくりに邁進している。

  • 写真中央:代表取締役社長 駒野 亜由美さん

ライスセンターの稼働以来、直販が増加

設立から27年目のホープイン中沢は、越路中沢エリアの農地を預かり、米や大豆を生産している。平成23年に父から経営を引き継いだ駒野亜由美社長は「継いだ当初は栽培については父に頼っていたところが大きかったですが、いまは自分たちで段取りを組んで出来るようになりました。みんなが成長してきたと思います」と話す。
コシヒカリを中心に、新之助、酒米、古代米、大豆を栽培しているほか、夏はブルーベリー、冬はアスパラ菜やブロッコリーを手掛けている。経営面では平成26年にライスセンターを建てたことで、米の販路が変化。「米屋や飲食店への直販が増えました。東京の和食屋さんにも週1回配送しています。お店にも行ってみたのですが、こうやって皆さんに食べてもらっているのかと思って、うれしかったですね」。また、大豆は3年前に一等評価を獲得。「大豆の一等はなかなか取れないのですが、それを取れたというのがモチベーションになっています。もう一度一等を、というのが毎年の目標です」。

平成26年に建設したライスセンター

  • 穂の色や長さなど、成長具合を定期的に調べながら、その後の育成計画を練る。
    経験を重ねることで、栽培技術も向上している

そして、売り上げが伸びているのが黒紫米。「会社を始めた当時から作っているのですが、ここ数年で売り上げが良くなって、地元のレストランでも使っていただいているようです。炊くときれいな紫色になる古代米です。好調なので、今年は作付けを増やしました」。駒野社長は4年前に「米米ランド」という餅工場を受け継いでいる。黒紫米を搗いてみたところ、真っ黒な餅に仕上がった。伸びのいい柔らかさも特徴で、「紫宝餅」の名前で商品化。注文販売が中心だが、珍しい商品ゆえ毎年好評だ。

  • 黒紫米は地元スーパーの直売コーナーや道の駅などで販売

駒野社長は従業員が働きやすい環境づくりにも積極的。繁忙期の田植えの時期も含め、週1回の休みとノー残業日を確保。「実はそう決めて実行したら仕事の能率が上がって、従業員が1人減ったのに、それぞれしっかり休めているんです。農業は休めないと思われがちですけど、やればできるんだと思いました」。その成果が評価されて、全国担い手育成総合支援協議会などから表彰も受けた。「励みになりますね。従業員にもいい影響があると感じています」。

  • 外観

  • 令和2年には、新潟県優良農業経営体等表彰の
    経営改善部門(女性活躍)で県知事賞も受賞

音楽イベントとのコラボで農業を身近に

「みんな仲良く」が会社のモットー。さらに、地域の絆も強い。「越路には農業法人が多く、従業員同士も仲がいい。私と同じ2代目で同年代の経営者が4人いて、相談する仲間がいることが心強いです」。自分が就農した10年前と比べ、女性の農業者が増えたことも実感。「農業に携わっている女性の交流会に行ったら、20代の女の子たちがわいわい楽しく盛り上がっていて。私が始めたときは周りに女性は誰もいなかったので、うらやましい!と思いましたね」。

休憩時間には従業員みんな揃って、おやつや水分を。
お客様が加わることも多く、いつも話が弾んで賑やかだ。収穫し始めのブルーベリーもお茶請けに

人の縁は面白いことも呼び込んでくれる。長岡市出身のデュオミュージシャン、ひなたが主宰する音楽イベント「音むすびフェス」に農業で協力。「音むす田んぼ」を用意し、ひなたのファンと一緒に苗を手植えし、収穫を行い、イベント当日にはおにぎりを(コロナ禍ではお米を)観客に提供。「田植えや稲刈りには若い世代やファミリーなど幅広い年代が来てくれます。すごく喜んでくれるし、作業の後にみんなで食べるおにぎりのおいしさは、ずっと記憶に残ってくれると思います。ひなたのふたりや音楽を通して、リアルな農業を伝える機会をもらえて感謝ですね」。

「音むす田んぼ」での農業体験には、ひなたのお二人も参加。
収穫したお米で作った塩むすびが「音むすびフェス」でふるまわれた

そして、ホープイン中沢が最も大切にしているのは、やはり地元への思い。「中沢地区の皆さんの田んぼをお預かりしているので、その責任は常に意識しています。ずいぶん前の話ですが、役員から「道に泥をつけたままにしていたら誰も認めてくれないぞ」と言われて。面倒なことですが、自分が道を通るときに泥だらけだったら嫌ですよね。信頼してもらうためにも大事なことだと分かったし、言ってもらえてよかったです」。
最後にこれからの目標を尋ねると「農地や人間関係など、いまの越路を崩したくないと思いますね」とのこと。地元への思いが原動力となり、今日も明るく一丸で作業に取り組むホープイン中沢だ。

SNSなどで農業の楽しさを発信。従業員の皆さんが農業を楽しんでいることが、笑顔から伝わってくる

お問い合わせ

有限会社ホープイン中沢

〒949-5408
長岡市越路中沢625番地2
TEL:0258-92-3829
FAX:0258-92-6611

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