地域が元気になる農業を

有限会社農園ビギン

「農園ビギン」は魚沼産コシヒカリを中心に、サツマイモやスイカ、メロン、ネギなどさまざま園芸品目も手掛けている農業法人。さらに、3種類のサツマイモを使ったスイートポテトを始めとするオリジナルスイーツが知られるようになり、最近では関東のスーパーからの注文も入る人気ぶりだ。「継続する農業を実現する」という南雲社長の信念のもと、次なる挑戦も始まっている。

  • 写真左から4番目:代表取締役 南雲 信幸さん

地形がくれた恵みの大地を守っていく

小千谷市の河岸段丘の高台の場所にある社屋の前に立つと、下っていくなだらかで広大な斜面に農地が続き、空が広く、土地全体が光にあふれて明るく感じる。「何度見ても景色の良いところだよね。自画自賛だ」と笑う南雲社長は、この場所が気に入って、農園ビギンを始めるとき、拠点をここに決めたという。「こんなに恵まれた土地にいて、農業がダメだなんて、言えないよね」。平成2年の設立以来、価値ある農産品づくりに挑戦を続ける南雲社長の原動力には、自然がくれたこの豊かな農地そのものへの感謝の気持ちも含まれている。

南雲社長が惚れ込んだ事務所前からの眺め(左)と、その一角に広がるカリフラワー畑(右)。
広々としていて明るく、のびやかな気持ちになる

南雲社長が惚れ込んだ事務所前からの眺め(上)と、その一角に広がるカリフラワー畑(下)。
広々としていて明るく、のびやかな気持ちになる

周囲の農地が耕作放棄地となっていくことに危機感を覚え、農業法人を始めた南雲社長。預かる田んぼも年々増えてきたが、単に米を作るだけでなく、いかに価値を与えていくかを常に考えてきた。「魚沼産コシヒカリという強みを活かすことは大切だと思います。田んぼが多い分、契約栽培を増やしていくことが重要。当社の米を評価してくれる卸屋さんもいて、とてもありがたい。最近はふるさと納税の返礼品の依頼も多いですね」。
同社の特徴は、主力の米に加え、園芸品目も多いこと。特にサツマイモ、スイカ、メロンが好評だ。「魚沼産コシヒカリもそうですが、園芸品も嗜好品を作るという考えで選んでいます。単純にお金という訳ではなく、自信を持って良いと思うもの、おいしいものを提案したい」。

  • サツマイモの収穫

  • 夏に人気のスイカ

さらに、冬は焼きいもの出張販売も好評。直売所などからの販売依頼が多いそうだ。また、手作りのオリジナルスイーツも広く知られるようになった。すぃーとぽてとや、ムースタイプのさつまいもスイーツ、さつまいもまんじゅうなどは、サツマイモ収穫後、農作業が休みになる冬期間に作り、冷凍して1年を通して順次出荷している。以前Soleの「にいがたモノ語り」でも紹介したことのある冷凍焼きいも「魚沼熟成 蜜やきいも」の人気も高い。どれも素材の味そのものが楽しめる商品で、すぃーとぽてとは関東を中心に展開するこだわり商品を扱うスーパーでも販売されている。「我々は農家なので、シンプルなものしか作れない。それが逆に良さとして評価されているようですね」。

  • べにはるか、パープルスイート、べにきららの3品種を使った「すぃーとぽてと」など、
    サツマイモそのものの味が楽しめる
    ※農産物直売所なじら~て(長岡市)などで購入できます

次は山間部の棚田で価値を生み出したい

いま、南雲社長がブランド化を目指して取り組んでいるのは、魚沼産わたぼうし。わたぼうしはもち米の品種で、おこわに最適、と南雲社長は話す。「実はもち米こそ産地によって本当に味が変わるんです。我々が預かっている山間部の棚田で作ったわたぼうしは、とてもおいしいです。この高品質のわたぼうしで、デパ地下の味を超えるおこわを作って、世の中にデビューさせたい」。
わたぼうしは早生タイプで、新潟で主力となっているもち米のこがねもちより1週間早く収穫できるのもメリット。農作業が分散でき、農家の負担も和らげることができるという訳だ。商品としては、具や出汁をセットにして、家ですぐに炊ける「おこわセット」を開発中。その先には、パックタイプのおこわも商品化したい考えだ。ブランド名は「雪曰(ゆきいわく)」。雪深い棚田から届く商品にふさわしいネーミングだ。
今後3年以内に商品化を実現し、ゆくゆくは仲間を増やして、地域ブランドに育て上げたいと話す南雲社長。ビギンだけがやるのではなく、地域全体の農業が盛り上がっていくムーブメントを作りたい、一緒にやっていくには、やはりみんなが作っている米をテーマにした方がいいと考えたという。「歳を取るほど、みんなに喜んでほしいという気持ちが大きくなってくるんです。若い頃は会社をやっていくことで精いっぱいだったんですけどね」。

取材時はネギの収穫作業が行われていた。ネギは契約先の小千谷や長岡のそば屋、ラーメン店などに納品される

昨年、南雲社長の長男も農園ビギンに入社し、息子3人が社員として働く。「社員はみんな、自分の担当部門を一生懸命やってくれるし、去年指導したことを守っているのを見ると成長も感じます」。継続する農業を目指し、若手農業者も育つなかで、地域活性への大きな夢を追う南雲社長。それが形になったとき、本当の意味で農園ビギンを始めた意味を実感するのかもしれない。

  • 倉庫は、積まれた米が出荷されるとサツマイモの貯蔵庫となり、
    夏にはスイカやメロンと、1年中フル稼働だ

  • 外観

お問い合わせ

有限会社農園ビギン

〒947-0044
小千谷市坪野1381-1
TEL:0258-89-6662
FAX:0258-82-9848

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