おいしいもので幸せに

有限会社髙儀農場

旨みがぎゅっと凝縮したフルーツトマトが看板商品の髙儀農場。春は越後姫のいちご狩りも大人気だ。農家レストランのラ・トラットリア・エストルト、直売所サグラを併設し、観光スポットとしても定着してきた同農場。経営は髙橋会長の息子さんふたりに引き継がれ、レストラン部門は社長が、そして生産部門は副社長が切り盛りしている。今回は髙儀農場のトマトやいちごの生産の舞台裏について話を伺った。

春から初夏にかけて、いちごとトマトで賑やかに

フルーツトマトで知られる新潟市北区にある髙儀農場では、米、いちご、レストランや直売所で提供する葉物野菜などを栽培している。現在、トマトは1年を通して供給する栽培ペースだ。「トマトは夏野菜という印象を持たれていますが、ここ濁川や豊栄など、新潟のトマト産地は春と秋に出荷する産地として成長してきました。うちも父である会長の代ではそうしてきたのですが、自社でレストランを始めたことや、お客様からも通年で欲しいという声があったこと、そして春は日本中がトマトだらけになって価格も下がってしまうので、ピークを作らず、年間を通して生産するようなペースに変えてきました」と、生産部を率いている副社長の髙橋泰道さんは話す。

取締役副社長

髙橋(たかはし) 泰道(やすみち)さん

事務所外観

実は通年でもいけると思ったきっかけは、苗が病気にかかってしまい、植え直しをしたという経験。「時期がずれても出来が良かったんです。型破りというか、柔軟に考えてもいいのかなと思うようになりました。怪我の功名ですね。その中でも、やはり旬になるには理由があって、3月から6月が一番おいしい時期かなと思います」。
いちご狩りは、例年2月中旬からスタート。作っているのは新潟県のブランドいちご「越後姫」だ。トマトもいちごもハウスで栽培しているが、トマトは苗を植えると自然と花が咲くのに対し、いちご(越後姫)は温度や日の長さ等の一定条件下でしか花が咲かない。栽培の考え方は全く違う作物だと言う。「作り始めた動機は、たぶん会長自身がおなかいっぱい、おいしいいちごを食べたいと思ったからだと思うんです(笑)。でも、自分が良いと思ったものを人に勧めるというのは、すごく大事なことですよね」。
来場者は春休みに入るころからゴールデンウィークがピークになる。ファミリー客、大学のサークル仲間など、世代も幅広く、新型ウイルス禍前は外国人観光客も多く訪れていたという。「実は、新崎は空港、高速道路、JRの駅などが近いんです。そういう地の利を活かしたいですね。ベトナムなどからの留学生や研修生も来てくださるので、そこから何か交流が生まれたりしたら面白いだろうな、と考えたりしています」。

  • いちごは7月中旬ごろから、株から伸びたランナーを取って育て、
    収穫ができるようになるのは2月半ばから
    いちご狩り
    期間:2月中旬~5月下旬
    営業時間:10:00~16:00
    料金:30分食べ放題:大人2,200円、小学生以下1,600円、3歳以下無料

  • エストルトでは越後姫のシーズンにはデザートプレートや、
    越後姫のパフェなどがメニューに登場

農産物が育つ現場を身近に感じられる場所

一方で、これからの新潟の農業について考えることも多いという。「いま、いちごは全国各地で毎年のように新品種が生まれて話題になっています。越後姫は本当においしくて素晴らしいいちごですが、新潟県でも違う個性の品種が出てくれば生産者もやり方に広がりが出てくるんじゃないかなと思いますね。昔からの新潟のいちご産地も、少しずつ生産者が減っていると聞くので、いま頑張っている若手生産者にもどんどんスポットライトが当たるといいなと思うし、農業全体が前向きに進んでいけばいいなと思います」。
そうした中で、髙儀農場は「おいしいものを食べて、人生を豊かに感じてもらいたい」ということが基本だと話す。「栄養摂取はサプリメントでいい、という人はいないと思うんです。おいしいものを好きな人たちと一緒に食べて、会話をして、ああ、今日もよかったな、と幸せになってもらいたい。そういう気持ちで作っています」。

隣接の直売所サグラではフルーツトマトや葉物野菜、米、自家製のソーセージ類、ジェラートなどが購入できる
営業時間:10:00~16:00
休日:火曜(祝日の場合は営業)

依頼を受けて、中学校や高校で話をしたり、職業体験を受け入れたりしているという髙橋さん。「将来、一緒に働く仲間になってほしいなと思いながら話をするのですが、そうでなくても、食べることは誰にとっても切っても切れないことですから、食べることの大切さを伝えています。農家がいなくなって困るのは、農家ではなく買う人。農業が世の中にとってなくてはならないということも、改めて知ってほしいと思っています」。
エストルトの窓からは、広大な田んぼの風景が見える。取材の日、保育園がお休みだった髙橋副社長の娘さんが「これはおじいちゃんとパパがお米を作ってる田んぼだよ」と教えてくれた。丹精込めて農作物が作られている場所で、その恵みをおいしくいただけるということの意味をかみしめたい。

エストルトの目の前の田んぼで育てられた「髙儀情熱米」

お問い合わせ

有限会社髙儀農場

〒950-3134
新潟市北区新崎2757番地
TEL:025-259-8111
FAX:025-259-4255

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