厚みも旨みも自慢の逸品!

『八色しいたけ』

地域連携で育てる逸品

「厚いにも、ほどがある」という名キャッチフレーズの通り、肉厚でジューシーなおいしさが、県内のみならず関東や中京地域でも人気を博している「八色しいたけ」。産地は南魚沼市大和、六日町地区で、そこに広がる扇状地の八色原という地名が「八色しいたけ」の名前の由来だ。昭和56年にふたりで始めたしいたけ栽培は、生産者、組合、JAの連携によって大きく成長。現在では年間約1,400トンを生産し、約200人もの雇用を生み出している。新たに参入したいという若手生産者も続き、さらに魅力ある産地へと成長を目指す生産現場を訪ねてみた。

  • special-img

しいたけ嫌いの子が「おいしい!」と喜んだ

形は丸くふっくらとしていて、表面はベルベットのような手ざわり。手にすると意外なほどの重量感。八色しいたけは見た目からでも、その品質の良さを実感させてくれるしいたけだ。
魚沼コシヒカリの名産地として知られる南魚沼市。そこで八色西瓜(すいか)と並ぶ特産品である八色しいたけは、八色しいたけ事業協同組合に加盟する14の生産者によって生産されている。生産量は令和2年度が1,391トン。新潟県内の生産量の半数を占める規模だ。その歴史の始まりは、豪雪地域の冬期間の仕事として、ふたりの農家が原木しいたけ栽培を始めた昭和56年。そして、平成6年に菌床による上面栽培に切り替えたことで、“厚いにも、ほどがある”と言われる厚みがあってジューシーなしいたけが生産できるようになった。

  • 傘の端が軸側に近い、開ききっていないものが良品。傘の周囲にある白くふわふわした部分は鮮度の証だ

八色しいたけは味も一級品。同組合代表理事の上村幸一さんは「感染禍以前は試食キャンペーンを毎年行っていたのですが、お子さんを連れたお母さんは“うちの子はしいたけが嫌いだから”と素通りしようとするんです。でもお子さんは興味を持ってくれて、シンプルに焼いたものを食べて“おいしい!”と。その様子を見て、“食べられるの?”とお母さんがびっくりする、ということがよくありました。作り手としてすごくうれしい瞬間でしたね」と話す。
他のしいたけとはひと味違う風味を持つ八色しいたけ。そのおいしさの秘訣を上村さんは「しいたけは水が重要です。菌床製造でも生産ハウスでも、八海山の伏流水を使用しているのも味の秘訣だと思います」と話す。菌床は畑で言えば土にあたるもの。同組合では富山産の広葉樹のチップに魚沼産の米ぬかやふすまなどの栄養分を配合して作っている。

2日に一度トラックで運ばれてくるチップと、魚沼産の米ぬかなどを合わせてかく拌

袋に自動充填され次々と作られていく菌床。この後、殺菌され、種菌を入れて培養される

  • 一次培養が行われている栽培ハウスは驚くほど大きな施設。7万菌床を培養するハウスが4棟ある。
    冷暖房は地下水を利用したヒートポンプで行われている

同組合では、この菌床の製造・培養と、生産されたしいたけの選別、包装、出荷を集約化した生産体制を構築。これが八色しいたけの品質や生産能力の向上につながり、一大産地形成を実現させた。
菌床センター、パックセンターの施設の建設はJA魚沼みなみ(現・JAみなみ魚沼)が手掛け、また生産者のもとにある全120棟の発生ハウスのうち、72棟は同JAが設置し、リースする形を取っている。こうした組合、生産者、JAの連携が、八色しいたけの産地としての強みとなっている。

  • パックセンター

純国産の安心品質を伝えて

培養センターで約50日培養された後、各生産者の発生ハウスに届けられた菌床は、さらに約70日かけて二次培養した後、約7ヵ月間発生と収穫を繰り返す。しいたけが育つ発生ハウス内は、秋の奥山の環境が再現されていて、薄く陽射しが差し込み、湿度を感じる。上村さんは「不思議なのは、同じ時に種菌を植えて、同じ環境に置いておいても、同じようには出てこないところ。しいたけが出てくるように管理していても、すぐ出るときもあるし、反応がないときもある。きのこは生き物なんだなと思うし、そこが面白さでもありますね」と話す。

  • 優しい日の光が入り、時折ミストが空中を舞う発生ハウス。上村さんは5棟で生産。
    多い人では10棟以上で生産している人もいるそうだ。傘の開き具合などを見ながら365日毎日収穫する

売れ行きは順調だが、市場には他産地のライバルも多い。八色しいたけとしては、より一層の安心・安全な生産体制を確立するためJGAP認証を取得。パッケージには純国産材木を使用している証のどんぐりマーク、国産安心きのこである証のリーファースマーク、原産地・菌床製造地を載せるなど、ブランド力を高める努力を重ねている。
JAみなみ魚沼でしいたけ販売を担当する水沢利史さんは「JAとしても今後、青果物に力を入れていくなかで、八色しいたけはその主力として伸ばしていきたい品目です。通年収穫できるというのも大きな魅力ですね。販売先を拡大することは可能だと思っていますが、そのためにはまず生産量を増やすことが先決。新たに参入したいという生産者もいらっしゃるので期待しています」と話す。

  • 大きさなど規格に合わせて包装。県内のスーパーや直売所で購入できる

  • 出荷箱や袋には認証マークを掲載し、
    安心・安全を伝えている

現在、組合や生産者のもとで働く人は約200人。ふたりから始まったしいたけづくりは地域に大きな雇用と、新潟を代表する特産品を生み出した。そこには先輩世代の想いを受け継ぐ若手世代の存在があり、そのバトンは次代へと確実に受け継がれている。

special-img

八色しいたけ事業協同組合
代表理事

上村(かみむら) 幸一(こういち)さん

special-img

JAみなみ魚沼
園芸畜産課 課長代理

水沢(みずさわ) 利史(としふみ)さん

お問い合わせ

八色しいたけ事業協同組合

〒949-7231
南魚沼市茗荷沢1473-25
TEL:025-780-1360 
FAX:025-780-1363

読者プレゼントがあります。
応募フォームからご応募ください

応募は終了しました