甘くて柔らか、秋冬ねぎの季節到来!

『長ねぎ』

地域一体でより良い品を

長岡地域の主力農産物のひとつである長ねぎ。令和4年には「長ねぎ生産部会」が設立され、現在17軒の農家が栽培に携わっている。その多くは新潟県の統一ブランド「やわ肌ねぎ」として出荷されている。より甘くておいしいと言われる「秋冬ねぎ」は10月から収穫が始まるが、その種まきをするのは3月から。栽培期間は約7ヵ月にもなり、かける時間は園芸作物のなかでも長い部類になる。味よし、姿よしの自慢の長ねぎが、食卓に届くまでを追った。

  • JAえちご中越の生産部会では、3haほどの作付がある

手がかかる出荷作業の集約で栽培効率がアップ

広い畑に整然と続く、長ねぎの列。長岡市にある、長ねぎ生産部会の山田部会長の畑では、収穫期を迎えた長ねぎが、尖った葉を天に向け、すっくと伸びていた。
毎日の食卓に不可欠で、とても身近な野菜である長ねぎ。実は育てるには時間がかかり、出荷する際の調製にもかなり手数が必要な作物だ。調製とは収穫後に行う作業のことで、長ねぎの場合は不要な葉や皮を剥いて、長さを揃え、サイズごとに分けて結束し、箱に詰めるまでをいう。

  • センターに集められた長ねぎが、各調製の工程を経て次々に箱詰めされていく

長岡地域では、平成30年にJAえちご中越の園芸流通センターでの共同選別がスタート。それまで生産者が各自で担っていた調製を共同で行うことができるようになり、農家の負担は格段に軽くなった。「収穫後の一連の作業がここに集約されたのは、農家にとってはものすごくありがたいことなんですよ。自分のところだけだと出荷作業量に限界があるけれど、負担が減ったことで作付面積を増やすことができますし、地域全体としての生産量も増やすことができます」と山田部会長は話す。
長ねぎは地域の主力産品だからこそ、こうした取り組みが進んだ背景もある。「この地域での長ねぎ栽培はずいぶん前から行われていて、JAが合併する前の旧JA越後ながおかのエリアで見ると、枝豆、里芋、そして長ねぎが3大特産品です」。そう話すのはJAえちご中越の本間明美さんだ。
ここで生産される長ねぎは、新潟のブランドねぎ「やわ肌ねぎ」として出荷される。品質が重要なので、部会では2月に育苗指導会、5・6月は圃場での現地指導会を開催し、出荷期間は週1回目合わせを行い、技術向上に努めている。園芸流通センターで調製を終えた長ねぎは、つややかな白い肌と緑の葉のコントラストが美しい、やわ肌ねぎに仕上がっていた。

  • 中腰の姿勢が続く手掘りでの収穫は、体力が必要な重労働だ

そして生産者の小野塚重行さんは、農家が時間をかけて長ねぎを育てていることも知ってもらえたらうれしい、と話す。10月から11月にかけて収穫・出荷される秋冬ねぎは、その年の3月、雪が積もるなか、ハウスで種まきをする。苗を育て、畑に植え付けをするのが4月。そこから約5カ月後、ようやく収穫の時を迎えるのである。

春から夏までにしっかり育てることが大切

栽培で気を使うのは、初夏から夏本番までの時期。「ねぎの生育は、春に畑に移植してから苗が育ってきて、8月の一番暑い時期にはちょっと休憩をして、9月になるとまた目を覚ます、というイメージです。真夏までにしっかり成長させておくことが大切なんです」と小野塚さん。適度に雨が降ってくれるといいが、逆に多すぎると病気発生のリスクが上がる。畑にある期間が長いぶん、収穫まで気が抜けないという。

  • 規格に合わせて長さを揃える

  • 専用の機械を使いながら、表面の薄皮を剥いでいく

  • 太さを計るのも手作業。専用スケールを合わせながら1本ずつより分けていく

  • 3本ずつ結束

やわ肌ねぎは、白い部分が30センチ以上という規格があるので、タイミングを計りながら行う土寄せの作業も重要だ。また、同じ長岡地域といっても、畑の場所によって土質がかなり異なるのだという。山田部会長は「黒ボク土の畑もあれば、砂壌土もあって、それぞれに育て方のコツが違います。品質を揃える必要がありますから、指導会で専門家の方から教えてもらいながら、各自が技術を磨いてがんばっています」と話す。

  • 葉の向きなどを揃え、きれいに見えるように箱詰め。真空予冷をかけて翌朝出荷される

  • JAえちご中越 園芸流通センター

一方、長ねぎの良いところは、急いで収穫しなければいけない作物とは違い、スケジュールに余裕を持って、自分たちのペースで作業ができるということ。需要も安定していて、若手の生産者も加わっているそうだ。
秋冬ねぎは他の季節よりも甘みがあるのが特徴。「主役になることは少ないけれど、一歩引いて料理を引き立てる名脇役。鍋物にも欠かせないですし、ぜひ、たくさん召し上がってください」と小野塚さん。種まきから出荷まで、たくさんの人の手がかけられて、ようやく食卓に届く長ねぎをありがたく、おいしくいただこう。

special-img

JAえちご中越
ながおか営農センター 園芸特産課

本間(ほんま) 明美(あけみ)さん

special-img

JAえちご中越
長ねぎ生産部会

小野塚(おのづか) 重行(しげゆき)さん

お問い合わせ

JAえちご中越 園芸流通センター

〒940-2025
長岡市高瀬町浦田1903
TEL:0258-27-1880 
FAX:0258-27-2122

読者プレゼントがあります。
応募フォームからご応募ください