抜群のシャリ感と甘みを楽しむ夏の味

『南浜すいか』

市場に応える産地として

新潟市北区の南浜地区で栽培されている南浜すいかは、6月上旬から9月までの約3カ月にわたって小玉と大玉が出荷されている。シャキッとした食感と高い糖度、水分をたっぷり含んだおいしさは、砂丘地だからこそ生み出せる味だ。市場での評価も高く、価格はこの5年ほど高単価で安定。ハウス団地の形成によって生産量も増え、南浜すいかの年間販売額は令和3年から1億円を突破している。高い品質と市場ニーズの変化にもすぐに応えていく小回りの良さで、さらなる拡大が期待される産品だ。

大玉スイカの需要増の波に乗って売上拡大

新潟市北区の南浜地区で生産されている「南浜すいか」。6月上旬から9月まで続く出荷は小玉スイカから始まり、大玉スイカ、お盆時期の黒小玉、そして秋スイカの大玉へと移っていく。令和3年から販売高が1億円を突破し、その後も好調な売り上げを記録。JA新潟市が取り組んだ南浜ハウス団地の形成と、大玉スイカのニーズ拡大に応える生産強化が功を奏している形だ。

  • 作付けはハウスから始まり、トンネル、露地、そしてハウスと、1シーズンにハウス栽培を二回転する。
    ハウス栽培は天候に左右されないことと、トップシーズンを外して希少性を高められるメリットがある

砂丘地が広がる南浜地区では古くから露地・トンネル栽培によるスイカ生産が行われてきた。昔は半農半漁が主流で、栽培品目として砂地で育てやすく、収益性の高い葉タバコやスイカが選ばれていたという。平成24年にほとんどの葉タバコが廃作となり、作物の転換が進む中、JA新潟市はより収益性の高いスイカに注目。新潟県の大規模園芸産地育成事業を活用し、合計60棟余りのハウス団地を形成することで、露地・トンネル栽培よりも早い6月上旬から出荷し、市場での有利性を確保。天候による影響が少ない中で品質の安定を図ることに成功した。
もう一つの要因が、大玉スイカの需要増と猛暑だ。近年は小玉スイカやカットスイカが人気。カットスイカを作るためには大玉スイカのほうがコストパフォーマンスがよいということで、スーパーを中心にニーズが高まっている一方で、全国的には生産者の高齢化などで、重量がある大玉スイカは生産量が減少。その分、価値が高まっているということがある。さらに、以前は8月でスイカの季節は終わっていたが、最近は9月も暑い日が続く。JA新潟市北部営農センター次長の野上克巳さんは「以前は8月半ばでスイカは売れなくなったものですが、いまは9月も売れるので市場からの要望に応えて、令和3年から秋スイカに取り組んでいます。好評で現在も拡大中です。6月から8月で終わっていた出荷シーズンが、9月まで延びた形ですね。南浜すいか部会は生産者43名で、要望を受けたら、じゃあやってみようということがすぐにできる、小回りの良さもいいところだと思います」と話す。

  • 大玉は一玉7kgから大きいものは14kgにもなる。収穫や出荷作業は重労働だ

大玉スイカの理想は1玉10キロ以上。生産者の神田良平さんの圃場で写真撮影のために持っていただいたものは、まさに10キロ超え。「全部このサイズを作りたいところですが、なかなか難しいですね」と話す。

収穫3日前から水を切り、糖度を高めて出荷

神田さんは会社員として7年勤めた後、家業の農業を手伝うためUターン。令和2年から本格的に祖父からスイカ作りの指南を受けた。「ただ、それからすぐ亡くなったので教わったのは正味1年ほど。さすがに全ては受け継げなかったので、祖父が一緒にやってきた部会の皆さんや、JAさんに助けてもらいながらやってきました」。
大きくて良質なスイカを作るには、根をしっかり作ること、そして着果の場所が重要になる。ツルを長く成長させて、葉が18枚以上になったところで受粉、着果させないと、大きな玉はできないそうだ。南浜では22、3枚のところで着果させるようにしている。スイカは着果がうまくいかなければ、それで終わりという一発勝負の作物なのだそうだ。

「南浜すいか」の目印となるシールを貼り、コンテナで朝8時ごろに選果場に運び込む

そこから収穫までの日数は決まっていて、収穫前3日間は水を切って糖度を高める。「畑に行くと葉がしおれていて水をやりたくなるので“出荷前3日間は日中、畑に行くな”と指導したりしていましたね」と野上さん。神田さんは「スイカは病気や虫に弱い作物なので、予防が重要です。元気であれば最後に水を止めてもちゃんと生きているので、そこまでにいかに健康に育てるかが大切ですね」と教えてくれた。

  • 糖度検査を行って品質を確認してから選果作業をスタート。昨秋からは糖度・空洞を測る機械が導入されている

  • 一玉ずつチェックし、レーンに流していく

  • センサーでサイズ・秀、優、良、並が仕分けられる

流れてきたスイカを箱詰めし、規格ごとに積んでいく

昨秋シーズンから、JA北部営農センター南浜選果場では糖度・空洞選果機を導入。「なによりおいしいスイカでなければ選ばれ続けることができません。遅ればせながらですが、これで他の産地と同様の形で、安定した品質での出荷ができるようになります」。高品質による単価アップも見込める体制を整え、さらなる販売額アップを目指して、今年のスイカシーズンが幕を開ける。

  • 北部営農センター 外観

  • 神田さんは12棟のハウスで南浜すいかを生産しているそう

special-img

南浜すいか部会

神田 良平さん 咲さん

special-img

JA新潟市 北部営農センター
次長

野上 克巳さん

お問い合わせ

JA新潟市 北部営農センター

〒950-3102
新潟市北区島見町4407-2
TEL:025-255-2005 
FAX:025-255-3704

読者プレゼントがあります。
応募フォームからご応募ください

応募は終了しました